江戸時代の実業家が建てた大邸宅!/旧野崎家住宅(岡山県倉敷市 児島)

岡山県倉敷市の児島地区は、江戸時代のはじめ頃から海岸に塩田が開発され、製塩業が盛んな地区でした。
江戸時代後期には、後に『日本の塩田王』といわれた野﨑武左衛門(のざきぶざえもん)が塩田の大規模化を進め、実業家として莫大な富を築きました。
児島地区には、彼が建てた江戸時代の邸宅が、丸ごと現存しています!

こちらは児島地区の海岸沿いにある『旧野﨑浜灯明台』。
1863年に建てられた、江戸時代から残る木造灯台です。

この灯台は野崎武左衛門が建造したもので、塩の積出しをする船着場にありました。
全国各地に木造の灯台がいくつか残っていますが、その中でも別格の豪華な造りで、屋根に宝珠が据えられていて、瓦の装飾などもきめ細かです。

この灯台から内陸部へ約1kmほど入った場所に、彼が江戸時代に建てた邸宅が丸ごと現存しています。その敷地面積は3000坪もあり、『旧野崎家住宅』として一般に公開されています。
こちらは、邸宅の『長屋門』です。他に、岡山藩主などの賓客が来訪した時のみ開くという『御成門』もあります。藩主が直々に訪ねるほどの大物でした。

長屋門をくぐると、中庭に出ます。ちなみに左側の建物は『内玄関』です。玄関だけで、普通の家一つ分ぐらいありますね。そして右側の建物は『中座敷(主屋)』です。

この中座敷、尋常じゃない長さで、なんと42mもあります。展望所から、九つの座敷が連続している様子が見られるようになっています。

次に、庭園と左側の建物は『表書院』です。庭園は枯山水で、地元児島の豊富な石材を生かして造園し、ソテツなど珍しい植物も見られます。

こちらは、表書院の『上の間』。奥には掛け軸が飾られ、縁先には水琴窟もあります。この表書院は賓客の応接として使われました。かつて岡山藩主もここに通されたのでしょう。

一方で、中座敷の裏側に回ると『台所』もあります。右側はここで働く使用人たちが食事などをしたテーブルです。こちらは実用的というか、非常に質素。持てる者と持たざる者、江戸時代の身分の違いをまざまざと見せつけられます・・・

敷地内には大きな土蔵群も連なります。これも全て江戸時代から現存する建物です。蔵は『商人のお城』とも言われました。

現在、蔵の中は『塩業歴史館』となっていて、塩田に関する資料が豊富に展示されています。また他の蔵では、掛け軸など高価な宝物類の展示もあります。

長屋門や台所も含め、合計17棟の建造物が江戸時代から現存しており、国の重要文化財に指定されています。
一部を除き、基本的に建物の内部に立ち入ることはできませんが、外縁をぐるりと巡りながら、内部の様子を見学できるようになっています。
それにしても、塩田でこれほどの財を成せるとは驚きですね!
『旧野崎家住宅』は、江戸時代の大富豪の佇まいを今に伝える、貴重な文化財です。


野﨑家塩業歴史館(旧野崎家住宅)
住所/岡山県倉敷市児島味野1-11-19
営業時間/9:00~16:30(17:00閉門)
休館日/月曜日(祝日の場合翌日)、年末年始(12/25~1/1)
料金/高校生以上500円 小中学生300円
http://www.nozakike.or.jp/

瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣

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松岡 広宣

松岡 広宣

松岡 広宣/フォトライター 1974年生まれ、兵庫県西宮市出身、西宮市在住。メディアポリス株式会社 代表取締役。 ソーラー発電付きエコキャンピングカー【ソーラーキング号】で全国各地を訪れながら、日本の美しい風景をハイビジョン映像で撮影しています。 できうる限り全国くまなく歩き回って、貴重な日本の自然や風景を映像として後世に残していきたいと考えています。 日本全国を旅していますが、もちろん、地元の瀬戸内も大好きです! 「癒しの国 日本.TV」 ~ 日本全国を「癒しの映像」でバーチャル旅行 http://www.healing-japan.tv/

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