『坂の上の雲』のロケ地となった『入船山記念館』

呉の歴史をたどるのにふさわしい、入船山記念館をご紹介します。
見どころは、平成10年に国重要文化財に指定された、旧呉鎮守府※(ちんじゅふ)司令長官官舎。
(※かつて日本海軍の根拠地として艦隊の後方を統轄した機関)

敷地内の小高い山を登ると、そこにはまるで物語に出てきそうなメルヘンな洋館(司令長官官舎)が現れます。
明治22年(1892年)に呉鎮守府が開庁したのを機に、その翌年建てられた建造物です。

異国情緒ただよう洋館は、主に長官の執務を行う場として、また、奥に続く平屋の和館は、長官の完全プライベート空間として利用されていたそうです。
洋と和の不思議な融合空間です。

ドラマ『坂の上の雲』で使用されたこの部屋覚えていますか?
首相官邸で伊藤博文が陸奥宗光や川上操六と朝鮮出兵の話をするシーンで使用された応接室です。

司令長官官舎(洋館)は、東京駅を設計した近代建築の重鎮、辰野金吾氏に師事していた桜井小太郎氏が設計しました。
外観に英国風のハーフティンバー(半木骨造)様式を取り入れ、屋根はまるで花びらが散りばめられたかの様な『魚鱗葺き』(ぎょりんぶき)。

西洋建築でありながら、日本人ならではの繊細さが随所に伺える点が、とても興味深いです。
例えば、壁や天井には、うっとりするほど美しい、日本の伝統工芸『金唐紙』(きんからがみ)が貼られています。
金唐紙とは、和紙に金箔をはり、版木に当てて凹凸模様を打ち出し、彩色をほどこし、全てを手作りで製作する、一時は継承者が途絶えてしまった、とても珍しい高級壁紙です。

ここ入船山は、今もなお生き残る美しい建造物と共に、まさに時代を動かした場所でもありますが、1000年以上も昔から氏神様が鎮座していた場所だったせいか、市街地にありながら静寂で、心地良い空気の流れを感じることができます。
地元民にとっては、癒しのスポットでもあるのです。

※日本の道百選に数えられる赤レンガの美術館通りを登りきると記念館があります。

森の中のお散歩感覚で一度入船山記念館に訪れてみてはいかがでしょう。
さらに、歴史や逸話を知り訪れることで、より一層臨場感が加わってくるのではないでしょうか。

◆呉市入船山記念館
住所:広島県呉市幸町4-6
電話:0823-21-1037
休館日:火曜日(ただし祝日・休日の場合はその翌日)・年末年始
開館時間:午前9時~午後5時
アクセス:JR呉駅下車徒歩13分

瀬戸内Finderフォトライター/江崎誠・菅波葉子(㈱Rainbow Sake)

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菅波葉子 ㈱RainbowSake 菅波葉子(広島県出身) 2011年ハワイから帰国後、広島県に帰郷。 日本国内&ハワイの広告会社勤務の後、日本酒を海外に普及するPR会社㈱Rainbow Sakeを立ち上げました。 『SAKEで世界を笑顔で繋ぐ』その架橋になりたい!という想いで、日本とハワイ・シンガポールを中心とした海外を行ったり来たりしています。 帰国する度に地元の魅力を再発見し、瀬戸内海の心安らぐ穏やかな景色、新鮮で素朴な海の幸&山の幸に癒されています。 ㈱Rainbow Sake http://www.rainbowsake.co.jp/

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