万葉の時代より御食国(みけつくに)と呼ばれ、食材が豊富な島として知られる淡路島。海水産物をはじめ、畜産から米、野菜まで豊かな土地が豊かな恵みを育んでいます。中でも、日本一の品質を誇る淡路島たまねぎは淡路ブランドの代表選手として有名。
日に日に春めいてくる2月下旬のある日。「美味しい新玉ねぎができたよ!」という知らせを聞きつけ、明石海峡大橋を渡って淡路島へと向かいました。
着いたところは、兵庫県の最南端・南あわじ市。最近、地元出身のタレント・上沼恵美子さんが『あわじ国』として独立を宣言した観光プロモーションでも話題になりました。
『あわじ国(南あわじ市)』は、淡路島の中でも、玉ねぎ栽培が最もさかんな地域。車を走らせていると、玉ねぎ畑があっちにもこっちにもと目に飛び込んできます。
今回訪ねたのは、美味しいと評判の玉ねぎを作る、注目の若手玉ねぎ生産者の仲野隆行さん。笑顔で出迎えてくれました。
淡路島で栽培される玉ねぎは大きく分けて、早生、中生、晩生の3種類。仲野農園では、2月下旬に収穫できる早生の中でも特別早い、超極早生の新玉ねぎから6月以降の収穫となる貯蔵用の玉ねぎまで、順番に収穫ができるように、さまざまな品種を植え付けています。
「新玉ねぎと貯蔵用の玉ねぎは、そもそも品種が違うんですよ」と仲野さん。ええ!新玉ねぎを乾燥させると普通の玉ねぎになると思っていましたが、違うのですね…
今回収穫させてもらったのは、3月5日ごろから収穫できるという意味で名づけられた『トップゴールド305』と、早い(速い)という意味を込めてギリシャ神話に登場する馬の名にちなんで名づけられた『アリオン』の2品種。早生種ならではのわかりやすい品種名です。
厳しい冬の寒さをじっと耐えて、十分に栄養をためて徐々にふくらんだ玉ねぎが土の中から顔をのぞかせています。葉の付け根がしまり、緑の葉が自然に倒れてきたら収穫どき。
土の上から指先で玉ねぎの大きさを確かめ、良く熟した玉ねぎを選んで、葉の部分を持って引き抜くと見事な新玉ねぎが姿を現しました。
春が来る前に、あの柔らかく甘く、みずみずしい新玉ねぎが食べられるとはなんとも贅沢です。
淡路島たまねぎが美味しいのは、水はけの良い土壌と海から吹きつける潮風に含まれるミネラルが大きく影響しているからといわれますが、そんな淡路島の玉ねぎの中でも仲野さんの玉ねぎは群を抜いて美味しいと評判です。なぜ、仲野さんの玉ねぎがおいしいのかをたずねてみました。
「全国の料亭やレストランから高い評価を得ている京野菜の名手、樋口昌孝さんのことをテレビで知り、その教えを乞うため樋口さんのところに通い詰めたんです」と仲野さん。
そのときに教わったのが、「土が野菜を作る」ということでした。樋口さんの野菜作りの姿勢に触れて、美味しい野菜を作ることに目覚めた仲野さんは、従来の農業スタイルを大きく見直し、土作りから再出発。
粉砕した真昆布やカニなどの有機肥料を混ぜ込んでミネラルの豊富な土を作り上げました。いわばミネラル豊富な『だし』のきいた畑で育てるから、旨みと甘みがたっぷりの美味しい玉ねぎができるというわけなんです。
「玉ねぎは1年に1度しか作れないから、毎年が勝負」という仲野さん。色々な品種を試したり、肥料にこだわったりとさまざまな試行錯誤を繰り返しながら、理想の玉ねぎ作りに励んでいます。
せっかくなので、仲野さんにおいしい新玉ねぎの食べ方も教えてもらいました。
「新玉ねぎは、やっぱり生食が一番。まずは、サラダやオニオンスライスでどうぞ。このとき、絶対に水にさらさないでくださいね。水にさらすとせっかくの栄養分や旨みが抜けてしまいます」。
新玉ねぎに包丁を入れると、水分がじわ~っとあふれ出ます。とにかくまずは、果肉のみずみずしさを味わってみてほしいとのこと。
鰹節と醤油の定番オニオンスライスの他、オリーブオイルと塩、レモン汁をかけても美味しくいただけます。
玉ねぎは辛みを感じるどころか、むしろ甘い甘みを感じるほど!フルーツ並みの糖度のある新玉ねぎは、美味しくていくらでも食べられるので、1個分のオニオンスライスをあっという間に完食してしまいました。
新玉ねぎを買うと、新玉スープや酢玉ねぎ、和風しょう油ドレッシングなど、仲野さんの奥様が作った『しんたまレシピ』もついてきます!ぜひ一度仲野さんの玉ねぎを味わってみませんか?
仲野さんの玉ねぎは、電話またはFAXで申し込みをすれば全国どこにでも発送してもらえるほか、事前に予約をすれば6月初旬までなら収穫体験をして持ち帰ることも可能なので、淡路島にお出かけがてら立ち寄ってみるのもおすすめですよ!
仲野農園 仲野隆行
住所/兵庫県南あわじ市阿万塩屋町2300
電話/0799-55-1652
注文/電話またはFAXにて。
※日中は畑に出ているため、電話に出られないことがあります。12:30~13:00と19:00以降がつながりやすくなっています。
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瀬戸内Finder 編集部
地元の皆さんからの写真や、在住ライターの記事で発信する、瀬戸内地域の観光情報サイト、「瀬戸内ファインダー」を作る編集部です。 瀬戸内海を囲む兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、香川県、徳島県の7県に関わる旬な情報を日々更新しています。 お問い合わせは下記まで Email : staff@setouchifinder.com
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