『日本のエーゲ海』と呼ばれる美しい瀬戸内海の景観が魅力の瀬戸内市の牛窓地区。海辺周辺にはリゾートホテルやペンション、西日本最大級のヨットハーバーがあり、地中海を思わせる異国情緒が漂う街として有名です。
しかし、海沿いの道からひとつ路地裏に入ると、まるで昭和にタイムスリップしたかのようなレトロな街並みが広がる『しおまち唐琴通り』と呼ばれるエリアがあります。
『しおまち唐琴通り』は、瀬戸内市牛窓町の東部(関町~東町)に位置する街並み。江戸時代から昭和30年頃の面影を数多く残す伝統的な建造物や遺跡、ノスタルジックな格子戸が続く町家などが立ち並んでいます。
牛窓の海に夕日が落ちる間際のひとときに、懐かしい昭和の風景が広がる『しおまち唐琴通り』を歩いてみました。
ここは、1998年に公開された今村昌平監督の映画『カンゾー先生』のロケ地にもなった場所。この通りと周辺で約半年間にも及ぶ長期ロケが行われました。
小さな記念碑が建てられているほか、ロケを記念して街角に小道具として使用した古い看板を集めた一角もありますので、ぜひ探してみてください。
今度は真っ赤な鳥居がたくさん連なる神社を見つけました。
ここは『最一稲荷』。由来記によると、北側の山に居た老狐が明治4年に社のあるところで天寿を迎えましたが、霊狐は神の如くひとの願いをかなえ、多くの人々が訪れるようになり、明治7年に京都の伏見稲荷から神璽を賜ったと云われています。
レトロな街並みが続く通りに突然現れた赤レンガのモダンな建物は、『街角ミュゼ牛窓文化館』。
大正4年に牛窓銀行本店として建てられ、後に中國銀行牛窓支店として昭和55年まで使われていたとか。現在は『しおまち唐琴通り』の文化を紹介する館となっています。
次は、高台にある牛窓天神社へ。古い土塀や板張りの民家の脇を抜け、長く細い石段を登ります。
菅原道真が京から九州に流される途中に立ち寄ったとされ、そのとき道真が腰掛けた石の上に社殿を建てたのが、現在の『牛窓天神社』なんだそう。
境内には、道真が詠んだ「磯山の 峯の松風 通い来て 波や引くらん 唐琴の迫門」という歌の歌碑が残されています。
ここは、日本の夕陽百選の夕日の鑑賞スポットとしても有名な場所。天気が良ければ、ぜひこの美しい景色を見てください。
牛窓の海にゆっくりと沈みゆく夕日と刻々と表情を変える牛窓の街並みが一望できます。
牛窓のすぐ沖合にある前島、青島、黄島、黒島とその島々が浮かぶ見事な光景は『牛窓瀬戸』と呼ばれています。
海岸近くの小高い丘の上にある小さな神社『五香堂』の境内からは、古くから牛窓瀬戸を往く船の安全を見守ってきた『燈籠堂』を眺めることができます。
『五香宮』の境内には、こんな人懐っこい猫たちも。じっとしていると何匹か集まってきます。
『しおまち唐琴通り』を抜けて再び海沿いの道へ。もうすでに海辺は濃いブルーに包まれていました。
ノスタルジックな風情漂うレトロな『しおまち唐琴通り』。のんびりと歩いてみると、心に染み入る風景に、あなたもきっと出会えるはずです。
—————————–
しおまち唐琴通り
所在地/岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓
電話/0869-34-9500(瀬戸内市観光協会)
この記事が役に立ったらいいね!してね
関連キーワード
関連記事
この記事を取材したフォトライター
瀬戸内Finder 編集部
地元の皆さんからの写真や、在住ライターの記事で発信する、瀬戸内地域の観光情報サイト、「瀬戸内ファインダー」を作る編集部です。 瀬戸内海を囲む兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、香川県、徳島県の7県に関わる旬な情報を日々更新しています。 お問い合わせは下記まで Email : staff@setouchifinder.com
Hashtags
旬のキーワード