水も滴るイイ男!消防団が真冬に本気で放水し合う、日生の源平放水合戦をレポート

正午過ぎ。威勢の良い掛け声と共に、消防車がサイレンを鳴らしながら港に到着しました。サイレンは戦の始まりを告げる音。消防車を取り囲むのは、岡山・備前市消防団日生(ひなせ)方面隊の団員さんです。紅白の餅がまかれ、寒さを払いのけようと一升瓶から酒を口に含む人も。

港をぐるりと観衆が取り囲んでいます。レインコートに身を包む人もちらほら。急流下りのアトラクション並みの装備ですが、まさか…。

ひぇー!!!!

団員の皆さんが東西に分かれて小舟に乗り込み、相手の小舟を沈没させようかという勢いで水をかけ合う放水演習、通称『源平放水合戦』の光景です。2015年2月1日の最高気温は6℃。港はぴりっと冷えた空気に包まれています。

こんな放水は序の口。

1分後には相手が見えないほどの水しぶきに覆われ

本格的な遣り合いはここからです。

ホースを制御して狙いを定めるだけでも相当な力が必要ですが、その上、真正面から容赦なく放たれ続ける水の勢いに足を踏ん張って耐え、時には身をかがめて攻撃をかわさなければなりません。かつて小舟が木製だったときは、舟ごとずぶずぶと沈んでいくのが常だったとか。

船の上から放水の方向を指示するのは一世代上の団員さん。おそらく、過去には小舟の上でびしょ濡れになった経験を持つのでしょう。

放水合戦は日生町で昭和25年から続く伝統行事です。この日は、朝9時から近くの日生中学の校庭で日生方面隊の出初式がおこなわれ、そこで指揮を高めた団員さんたちが合戦に向かいます。一年で最も寒く、武道では寒稽古がおこなわれる2月初めに、隊の結束を強め精神を鍛えるために港で始まったかなり厳しい訓練です。

いまでは地元の人だけでなく、県内外から観光客やアマチュアカメラマンが消防団の勇姿を一目見ようと詰めかけます。風下で観戦する人には霧のような水しぶきがかかることがありますが、それほど濡れませんので、ご安心を。

合戦という名が定着しているものの、放水の応酬は訓練ですから勝敗はありません。演習の終わりを告げるのは、五色の水。一年の安泰を祈念して青空高く放たれる色鮮やかな水しぶきに、自然と拍手が沸き起こります。

15分ほどの戦を終えた団員さんは色水で全身ずぶ濡れになって、寒さに震えながらも誇らしげに家族や友人に囲まれます。

港町の冬の伝統を見届けると、なんだかこちらもすがすがしい気分。是非温かい服装でお出かけください!


◆源平放水合戦
開催日/毎年2月の第一日曜日 12:00~
開催場所/日生港にて(岡山県備前市日生町日生)
アクセス/JR赤穂線「日生駅」から徒歩15分
連絡先/日生総合支所管理課 0869-72-1104

瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか

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堀 まどか

堀 まどか

堀 まどか/フォトライター 兵庫県生まれ、在住。実務翻訳、外国人起業家支援、通訳案内士(英語)、そしてフォトライター。 ネットマーケティングの外資系スタートアップで進行管理や顧客サポートを担当。 2011年から、フジサンケイビジネスアイ掲載の週刊コラム『ITビジネス最前線』を英日翻訳しています。 日常の風景や旅先で出会った人の表情など、心に触れるものを写真におさめています。瀬戸内のスポット、暮らしぶり、季節感、食を私目線で切り取ります。 写真ブログ http://riderv328.tumblr.com ツイッター https://twitter.com/Riderv328

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