鮮烈な赤に心うばわれる、奥田元宋の世界へようこそ!/奥田元宋・小由女美術館(広島県三次市)

広島県の北部に位置する三次市。ワイナリーや運動公園のある観光エリアに、地元出身の芸術家の美術館を訪ねてやってきました。

『奥田元宋・小由女美術館』。奥田元宋(1912―2003)は、広島県三次市出身の日本画家。妻の小由女(さゆめ)氏も三次市出身で、日本を代表する人形作家として現在も活躍中です。2001年にふたりの作品が三次市へ寄贈されたことから、その5年後に美術館がオープンしました。

それでは、展示室へ入ってみましょう。

赤、赤、赤。どの作品にも赤が使われています。『元宋の赤』と言われるこの色は、彼が画家人生の後半にたどりついた独自の色彩。ちなみに、同時代の画家・東山魁夷とも親交があったことから、『魁夷の青』と並び称されることもあるそうです。

こちらは代表作のひとつ『紅嶺』。縦213cm×横582cmもの巨大な画面いっぱいに、真っ赤な樹木と山が描かれています。ほのかな明かりのなかでこの作品と向かい合っていると、本当に山の中にいるような気持ちになってきます。
絵の左上には、元宋作品にたびたび登場する月が。実は、この月が奥田元宋・小由女美術館では重要な役割を果たしているのですが……それは後ほどご紹介します。

奥田小由女の作品『月の別れ』。千手観音のように広げられた手は、亡くなった夫・元宋へ差し伸べられたもの。「元宋を支えるには2本の手では足りない」と6本になったとか。作品に込められた深い想いを知り、言葉もありません。

感動的なエピソードの余韻に浸りながら展示室を出ると、ロビーの大きな窓に絵のような風景が広がっていました。

大きな池を配したこの設計は、三次の風景を描いた元宋の『待月』という作品がモチーフだそう。正面は、月がのぼる東の方向を向いています。

そして、ロビーの脇にはこんな掲示板が。

満月の夜。美術館では開館時間を21時まで延長し、幻想的な光景を見ることができます。奥田元宋・小由女の作品とともに、月明かりの静かな夜を楽しんでみませんか?


『奥田元宋・小由女美術館』
住所/広島県三次市東酒屋町453—6
営業時間/9:30~17:00(入館は閉館時間の30分前まで。満月の夜は開館時間を延長)
定休日/第2水曜日および年末年始。その他、臨時の開館・休館日あり
電話/0824-65-0010
HP/http://www.genso-sayume.jp/

瀬戸内Finderフォトライター 古川いづみ

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