地元で穫れた魚が食べられない!? 島に小さな橋を架けるため立ち上がった海の男/『周防大島 架け橋Market』

「周防大島に小さな橋をい~っぱい架けたいんよ」
そう話すのは約4年前、島に移住してきた小野寺伸(おのでらしん/45歳)さん。以下、伸さん。

伸さんは岩手県出身、サーフィンが趣味の元自動車整備士。波を求めて、全国を旅する最中に立ち寄ったのが周防大島だった。
島に魅せられ移住を決めたのは、ほとんど波が立たない瀬戸内に浮かぶ島。理由を聞くと「運命じゃろね〜」と答える海の男だ。

数年前からサーフボードを漁船に乗り換え、漁師手伝いとして働きはじめた。一級船舶免許を取得し、誰もが漁師になるのだろうと思った矢先、「行商をやる」と言い出した。「漁の手伝いをするなかで、地元の人が地元の魚を買えないことを知った」という。

高齢化率50%を超す周防大島。地元の鮮魚店が減る一方で、クルマを持たないお年寄りも多い。地元の人の声を聞けば聞くほど思いは募り、ふと「わしがやろう」と思い立つ。
漁で稼いだお金をすべてつぎ込み、軽トラックを購入し、自前で行商用に仕立て上げた。無事保健所の許可もおり、名前を『周防大島 架け橋Market』に決めた。島の友人にロゴを作ってもらい、行商中に流す音楽も島のミュージシャンのもの。もちろん仕入れるのは地元の魚だけ。ぜんぶ周防大島産だ。

2015年1月15日、行商スタート!現在、週に一度のペース。

「新鮮な魚を新鮮なうちに地元の人に届けたい」―それが伸さんの思い。自信を持ってオススメできる魚が用意できないのであれば、お休みしてもいい。そんなスタンスで”ぬるり”とスタートした。

“ぬるり”とはじまった行商だが、島でははやくも引っ張りダコ!
行商に張りついていると、この先に本当に民家があるのだろうかという細い路地にまでぐんぐん入っていく。民家の軒先で一人のおばあちゃんのために魚屋さんがオープンする。それがたとえアジ一匹のためであっても。会話のなかから、次の行商のヒントをもらう。「こうしよう、ああしようが尽きない」とか。

夢は名前の通り、『周防大島の架け橋』になること。
「大島は大きいから同じ島のなかでも結構知らないことが多いじゃろ。島にはこんないいものがあるんよ~ともっとみんなに紹介したい。小さい橋を島のあちこちにいっぱい架けたいんよ」

「また来週、まっちょるよ~」
島のおばあちゃんらが決まって別れ際にかける一言だ。満面の笑顔で「はい!」と答える伸さん。軽トラが見えなくなるまで見送るおばあちゃんの姿に、『架け橋Market』がつなぐ未来をちょっとだけ垣間見た気がした。

瀬戸内Finderフォトライター 藤本雅史

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