タオルで知られる今治市の山間にある玉川町鬼原。
豊かで美しい伏流水が今治の織物産地の発展に深くかかわっている、蒼社川の源流に近いところに小さな工房があります。
工房織座(おりざ)でつくられているのはタオルではなく、コットンマフラー、ショール、キャップたち。
ここではなんと100年前の旧式織機が使われています。
地元今治のタオルメーカーで工場長として長年勤めた、代表の武田さんは根っからの職人。
大量生産の時代に姿を消していった旧式のシャトル織機に着目し、全国からガラクタ同然の旧式織機を探し集め、自分自身の手で復元、改良、改造を重ねた、世界にただひとつの「オリジナル着尺一列機」を使ってものづくりをはじめました。
旧式織機でやさしくゆっくりとつくられる織物は、綿、シルク、麻など天然素材の持つ本来の風合いが活き、どこか懐かしいぬくもりのある質感が生まれます。そして強く、使うたびに味わいが増すところが魅力なんだそうです。
これらの旧式織機から生み出される織りに魅せられ、工房では手仕事やアナログな製法を多く取り入れられています。
たとえば、織物をパターン通りに仕上げるためのパンチカード。今では手間を省くためにコンピューターを使っているところがほとんどですが、織座さんではパンチカードを使って柄を表現しています。
こだわりは尽きることなく、商品によっては糸をねじりあわせる「撚糸」や染色も自社で行うほど。そして洗い後の乾燥は自然のまま。また、すべて無縫製で仕上げられるため、肌あたりがよいのが特徴です。
縦糸と横糸に「よろけ」させながら織ることで、瀬戸内の海を表現した、世界初の織技術「たてよこよろけもじり織り」を開発。第3回ものづくり日本大賞にも選ばれています。不思議な立体感が醸し出され、肌触りが良く、通気性や保温性にも優れています。
全国のアパレルやセレクトショップでも取り扱われていますが、
今治の工房に併設されたショップでは、工房織座のすべての商品を見てふれることができます。
もちろん工房見学もOK。旧式の足踏織機を使った織りの体験もできるそうです。
海も山も近いのどかな環境でつくられた、スローな瀬戸内時間によく似合う、織りのライフウェアたち。ぜひ一度足を運んでみてください。
工房織座(おりざ)
住所/愛媛県今治市玉川町鬼原甲55
営業時間/9:30〜16:00
定休日/土日祝 不定休
電話/0898-55-2564
HP/http://www.oriza.jp
瀬戸内Finderフォトライター
文章:川井 知子(ドリームネットワークアクティビティ)
写真:柳沢 高文(ドリームネットワークアクティビティ)
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瀬戸内Finder 編集部
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