建築家・丹下健三の代表作『香川県庁舎東館』
突然ですが、香川県で「アート」と言えば、何が思い浮かびますか?
直島、瀬戸内国際芸術祭、イサム・ノグチ、猪熊弦一郎の美術館、ジョージナカシマの家具と桜製作所……。
思いついた人も、思いつかなかった人も、近年、香川県では「アートな県」として様々な観光の取組みを進めています。
そもそも、なぜアートなのか。
そのルーツをたどると、香川県庁舎東館に行き着きます。
このモダニズム建築は、日本を代表する建築家・丹下健三の手によるもの。
その立役者は金子正則。戦後初の民主選挙で選ばれた当時の香川県知事です。
彼の最初の仕事は、戦後の焼け野原に新しい県庁舎を建てることでした。
政治と芸術は一つのものである。
ともに人の心を豊かにするために捧げられなければならない。
「政治とはデザインなり」金子正則著より
その言葉通り、金子知事は、新しい県庁舎の建築を丹下健三に依頼し、エントランスの壁画を猪熊昡一郎に、調度品の家具は剣持勇にと、一流のクリエイターたちによって新しい県庁舎を完成させました。
彼らが建築を通して体現しようとしたのは「民主主義とは何ぞや」ということ。
今でこそ当たり前ですが、当時は民主主義がどういうものか、明確に答えられる日本人はほとんどいいなかったでしょう。
そこにこそ、建築の大きな意義がありました。
誰でも気軽に入れる開かれたピロティ、大きく開放的なガラス張りのロビー。
開館当初は、屋上にオープンカフェが設けられ、中庭は映画の上映や演奏会を想定してつくられたと言います。
2014年にはこの県庁舎の中庭を使い、映像×演劇×建築というプロジェクションマッピングを使ったユニークなパフォーマンスも行われました。
※さぬき映画祭2015/劇団「ハイバイ(代表岩井秀人)」公演「霊感少女ヒドミ」より
http://www.sanukieigasai.com/event/event06.html
民主主義という新しい思想を建築というカタチで体現して見せた香川県庁舎。
昭和40年代に起こった化学反応の結果が、最初にあげたアートな遺伝子たちなのです。
香川県庁舎ガイドツアー
※平成29年8月以降は東館ガイドツアーを一時休止します。再開は、耐震改修工事完了後(平成32年1月頃)予定
住所/香川県高松市番町4-1-10
希望者は見学希望日の1週間前までに予約ください。
ツアー可能日/月〜金曜日(祝祭日・年末年始を除く)の9〜11時・13〜16時の間(約1時間)
予約申込み先/TEL:087-832-3075(担当:財産経営課)
email/zaisankeiei@pref.kagawa.lg.jp
(代表者氏名、連絡先電話番号、参加人数、希望日時をお知らせください)
http://www.pref.kagawa.lg.jp/zaisankeiei/guide/guide.htm
瀬戸内ファインダー 小西智都子
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