海で陸で神輿を叩きつける!? 西日本有数の奇祭『俄祭り』/山口県柳井市

それはある年の9月の朝。神社の前には、白いハッピにフンドシ姿の男たち。周囲には祭りをこの目で見ようという見物客。今か今かとざわついた空気の中、それは突然!起こりました。

神輿を勢いよく地面に叩きつけたのです。
一瞬祭りへの謀反(むほん)が起こったのかと本気で思うほどの衝撃的な光景。さらに横倒しになった神輿の上に3人が駆けのぼり、大声で何かを叫びます。これが西日本有数の奇祭と呼ばれる『俄祭り(にわかまつり)』の始まりでした。

奇祭の洗礼を受けポーっとしていると、神輿は集落を練り歩き始めます。この祭り、いつ何が起こるか分かりません。急いで追いつくと、先ほどの世にも珍しい光景が繰り返されていました。民家の軒先で、地蔵の前で、行く先々で神輿を大地に打ちつけます。

「よく神輿が壊れないな」と感心していると、グシャッという鈍い音とともに神輿を支える太い丸太に亀裂が!

祭りが始まってわずか一時間後のこと。しかし、まったく動じる気配がありません。すぐに丸太を積んだ軽トラックが駆け付け、付け替え作業が始まります。その手際は「おみごと!」の一言。祭りの参加者の多くが漁師であることをここで知ります。縄の扱い方がみな巧み!見る間に取り付け作業が完了し、神輿はふたたび町へ。

祭りは夕方、クライマックスを迎えます。

町をぐるっと練り歩いた神輿が浜に現れると、何の迷いもなく海へ!驚くのはここから。海の中を左に右に移動しながら、ここでも神輿を叩きつけるのです。水しぶきを上げながら、神輿が横倒しになり、陸でのそれを同じように何人かが頂点を極め、雄叫びをあげます。

西日本有数の奇祭と呼ばれるワケです。
祭りの目的はこの海域(大畠瀬戸)に棲むと言われる龍神の心を鎮めるため。これまた奇妙な理由ですが、ここ大畠で暮らす人にとってはしごく当然な、切実とも言える問題なのです。

かつて大畠瀬戸は瀬戸内海を航海する者にとって難所中の難所。その激しい潮流と生き物のような渦潮は多くの命を呑み込み、いつしか龍神が棲むと恐れられました。この龍を鎮めなければおちおち漁にも出られません。この奇祭が500年もの間、漁師の手によって大切に受け継がれている理由がここにあります。

“奇”に見える突飛な行動は、龍神を鎮めるため海に身を捧げた絶世の美女『般若姫』のストーリーをなぞっているとか(『絶世の美女・般若姫が金龍とともに沈む「大畠瀬戸」』 参照)。それぞれの“奇”がどんな意味を持っているのか? 推理しながらの見物も奇祭ならではの楽しみ方! 西日本有数の謎解き、チャレンジしてみませんか??


【おいでませ!山口】
俄祭り(にわかまつり)
開催時期/9月中旬(2018年は9月30日日曜日)、10:00~17:00
住所/山口県柳井市大畠広兼
問い合わせ/0820-45-2414(大畠観光協会)
URL/http://www.city-yanai.jp/site/kanko/niwakamatsuri.html

瀬戸内Finderフォトライター 藤本雅史

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