伊予の小京都と呼ばれる愛媛県大洲市の中央を流れる、愛媛県最大の河川『肱川』。
今回は、その肱川随一の景勝地『臥龍淵』に建つ、別荘『臥龍山荘(がりゅうさんそう)』をご紹介します。
『臥龍淵』の『臥龍』は、大洲城主、加藤泰恒が肱川に浮かぶ小さな島『宝来山』が龍の臥す姿に似ていることから命名しました。
そして、明治時代、大洲出身の河内寅次郎が神戸にて木蝋と絹の貿易で成功し、老後の余生をここで過ごしたいと、明治30年頃から10余年をかけて築造したのが『臥龍山荘』です。
自然に溶け込むように建てられた臥龍山荘は、今も昔も訪れた人々の心を魅了します。
臥龍山荘には三つの建物、臥龍院(がりゅういん)、不老庵(ふろうあん)、知止庵(ちしあん)があり、その中でも写真の崖の上にたたづむ不老庵は、数奇屋建築の傑作と言われています。
対岸の大洲のシンボル冨士山(とみすやま)右端から月が昇り、川面で反射した月光が天井に映り部屋を明るくする巧妙な趣向が施されています。
門を入るとまず目に飛び込んでくる、美しい石積み。
「乱れ積み」、「末広積み」、「流れ積み」と変化を持たせた石積みと木々。
自然と人が調和しながら生きる姿を感じることができます。
臥龍山荘を築造した、河内寅次郎が情熱を注いだとされる美しい建物、臥龍院。
全国各地より吟味された銘木を使用し、隅々まで計算されて造られています。
臥龍院の中にある、清吹の間(せいすいのま)。
天井は他の部屋より高くなっていて、夏には、涼風が入るように造られています。
さらに欄間の透かし彫りは、水の彫刻が描かれています。
夏の夕陽が沈む瞬間、光が欄間を通り花筏の絵が浮かびあがります。
臥龍院から1歩外に出ると、そこには美しい日本庭園が広がります。
自然の景観を利用し、山や川を取り入れた広大な借景庭園。
日本古来の美を今に伝える庭園。
見ているだけで、心が癒されます。
こちらの不老庵は、懸造り工法の建築。
特徴のひとつに生きた槇(まき)の木を使った「捨て柱」を基準に建てられています。
100年以上経過している今も上に伸びず横にだけ伸び、建物と共生しています。
木が建物に寄り添っているかのような光景。
人と自然のあり方を考えさせられます。
臥龍院の中の、壱是の間(いっしのま)。
この部屋は、畳をあげると能舞台になります。
また、床下には備前焼の壺が置かれ、音響効果を高める工夫もされています。
建築も庭園も、息をのむほどの美しさ。
四季折々に深い趣があり、日本の心を感じる場所。
ゆっくりとした時の流れを感じながら、自然に心を寄せる。
時を越えて受け継がれる日本の美を感じる臥龍山荘へ、一度訪れてみませんか。
臥龍山荘(がりゅうさんそう)
所在地/愛媛県大洲市大洲411-2
電話/0893-24-3759
営業時間/9:00~17:00(札止16:30)
定休日/年中無休
駐車場/有(大洲まちの駅あさもやをご利用ください)
観覧料/大人¥500 小人¥200(中学生以下)
共通券(臥龍山荘・大洲城)
大人¥800 小人¥300(中学生以下)
・保護者の同伴する5歳以下の幼児は無料です。
・大洲市内に住所を有する65歳以上の方は無料です。
・大洲市内に住所を有し、身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者福祉手帳を所持する方は無料です。
・20名以上の団体の方は2割引です。
http://www.garyusanso.jp/index.html
瀬戸内Finderフォトライター 大橋麻輝
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瀬戸内Finder 編集部
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