2015.6.24
愛媛県

ものづくりの人を訪ね、ていねいな暮らしを発見する愛媛の旅

毎日をていねいに暮らすこと。
忙しい人々の暮らしぶりの中に、さりげない丁寧さを取り入れるスタイルが、いま注目を集めています。
日本製の確かな手仕事の品や、カラダに優しい無添加の食品など、全国からインターネットでお取り寄せすることもできますが、たまには作り手の思いに触れながら、ゆっくりと地方をまわってみませんか?
今回は、伝統工芸品の多さから愛媛県をご紹介。
みかんだけじゃない、愛媛県の見どころをお楽しみください。

摘み菜の島/弓削島

しまなみ海道の近くに浮かぶ、愛媛県の離島『弓削島(ゆげしま)』。
庭に生えている雑草も、道ばたに咲く小さな花も、この島では大切な食材♪

食糧難? いえいえ、違います。

じつはこの野に自生する草花で島おこしをしているんです。

草花の姿が素朴でかわいい!
こちらは『摘み菜クッキー』と呼ばれ、野に自生する草花を乗せて焼いています。

もともと役場職員だった村上さん。ある講演会で摘み菜料理研究家の方に出会ったことから、摘み菜を使った島おこしを始めたそう。はじめは「それはもうタイヘン!」だったとか。それでも「出る杭ならもっと出てやろう!」と頑張り、いつしか島の名物に♪弓削島のかわいいクッキーには、そんな『雑草魂』ならぬ『摘み菜魂』が隠れていたのです。
出典:SETOUCHIFINDER.COM
愛媛県越智郡上島町に所属する人口約2,000人の島、弓削島。
離島ですが、因島からフェリーで10分というアクセスの良さ。

摘み草クッキー、可愛いですね。
帰ったらガーデニングを始めようかな。
そんな気持ちにさせてくれます。

>>摘み菜の島/弓削島(愛媛県)

100年前の織機を使った、今治のスローなものづくり

タオルで知られる今治市の山間にある玉川町鬼原。
豊かで美しい伏流水が今治の織物産地の発展に深くかかわっている、蒼社川の源流に近いところに小さな工房があります。
工房織座でつくられているのはタオルではなく、コットンマフラー、ショール、キャップたち。
ここではなんと100年前の旧式織機が使われています。

地元今治のタオルメーカーで工場長として長年勤めた、代表の武田さんは根っからの職人。
大量生産の時代に姿を消していった旧式のシャトル織機に着目し、全国からガラクタ同然の旧式織機を探し集め、自分自身の手で復元、改良、改造を重ねた、世界にただひとつの「オリジナル着尺一列機」を使ってものづくりをはじめました。

製品の魅力もさることながら、
古い道具を使うということ、そのことに注目してみると、
私たちの日常にも生かせることが思い浮かびます。

最新の優れた製品から作り出すものは、
正確すぎるところが少々おせっかいかもしれません。

ちょっとしたムラがあるほうが、風合いがでて良いときもある。
土鍋で炊いたご飯に、おこげができたりするのと同じように。

>>100年前の織機を使った、今治のスローなものづくり。/工房織座(愛媛県今治市)

愛媛に一軒だけ残る、老舗和蝋燭専門店『大森和蝋燭屋』

人々の生活に欠かせない『あかり』。
まだ電気がなかったころ、暮らしを明るく照らしていたのは蝋燭でした。
江戸時代の製法のまま、今も和蝋燭を作り続けている場所があります。
愛媛県内子町にある『大森和蝋燭屋』です。

蝋燭と言っても、洋蝋燭と和蝋燭は原料が違うのを知っていますか。
洋蝋燭の原材料は主に石油系ですが、和蝋燭はハゼの実から採取したものを使います。和蝋燭は自然由来なのです。

忙しい1日を終え、夜はキャンドルの明かりが癒やし、という人も多いでしょう。
いい香りの西洋アロマキャンドルも素敵ですが、和蝋燭を使っている人は意外と少ないのでは?

手作りだからこそ出せるゆらぎと、炎の大きさ。
そして何より自然由来というところが魅力的。

>>愛媛に一軒だけ残る、老舗和蝋燭専門店『大森和蝋燭屋』

日本伝統工芸、漆器の良さを体感!『伊予桜井漆器会館』

愛媛県今治市(いまばりし)。
ここに日本を代表する漆器の一つ、桜井漆器があります。
桜井漆器独自の技法に、輪島、山中、越前、会津、海南から招いた職人たちの技法をミックスした、5つのルーツがある全国でも珍しい漆器です。

「時代が便利になるに連れて、伝統工芸品が無くなっていく」と岡田さん。
こちらでも岡田さんより若い職人は一人もいません。
一つひとつ、心が込もった制作風景を見せてもらうと、漆器の良さがよくわかります。
ずっとずっと受け継いでいって欲しいものです。

実家には漆器の器があるけれど、自分では購入したことがない。
今はそういう方も多いと思います。

お手入れが難しいと思われがちですが、柔らかいスポンジに洗剤をつけて手洗いするだけでいいんですよ。

漆器の良さを知っていますか?
美しさばかりではなく、漆には殺菌効果があり、お弁当箱やお重にもぴったり。
そしてなにより、『漆はくっついたら離れない』ことから『末永くお付き合いが続きますように』という願いを込め、昔からお祝いごとに使われてきたのです。

ハレの日に使う食器のひとつにいかがですか。

>>日本伝統工芸、漆器の良さを体感!『伊予桜井漆器会館』

250年の歴史を持つ伝統工芸品。 全国一のシェアを占める『手すき和紙』

愛媛県西条市国安。
ここは、伝統工芸『周桑(しゅうそう)手すき和紙』の産地です。
石鎚山が育む豊富な水に恵まれた西条地域は、古くから和紙の生産が盛んでした。
時代と共に機械化が進む中、今もその伝統を守り、18世紀から伝わる『流し漉き』の技法で作られています。

手すき和紙は、機械漉きでは出せない、手ざわりのよい、温もりのある和紙になります。
職人歴二年目の元見さんは、祖母がここで働いていたことがきっかけで手漉き和紙に興味を持ったそうです。
素早い手さばきに、思わず見とれてしまうほど!

和紙の魅力。
今や外国人にまで大変な人気があり、世界中から手漉き体験に参加する方や、住み込みで弟子入りしてしまう方までいらっしゃるほど。

丁寧な仕事ぶりを見ると、「たまにはあの人に手書きでお手紙しようかな」
そんな温かいゆとりをもたせてくれる工房です。

>>250年の歴史を持つ伝統工芸品。全国一のシェアを占める『手すき和紙』/山本屋(愛媛県西条市)

アンティーク好きにはたまらない! 明治・大正のレトロガラスが揃う『道後ぎやまんガラス美術館』

道後温泉本館から徒歩3分。
若い女性たちが今、熱い視線をおくる道後の新スポット『山の手ガーデンプレイス』内にアンティーク好きな方におすすめの美術館を見つけました!
その名も『道後ぎやまんガラス美術館』。

中にはいると、希少な江戸・明治・大正時代のガラスアート300点あまりが所せましと並んでいます。
どの作品もデザイン性が高く、先人たちの粋なセンスに脱帽するばかり。
時が経つのを忘れて見入ってしまいます。

道後温泉駅そば。
そう聞いただけで行きたくなってきますが、観光の合間にちょいと見てまわれるほどの手頃さと、難解さを抜きにして、ただひたすら綺麗なものに浸りたいという女性的な感覚を満たせるスポットとしてぴったり。
ヨーロピアンガーデンや、カフェも併設されています。

>>アンティーク好きにはたまらない!明治・大正のレトロガラスが揃う『道後ぎやまんガラス美術館』(松山市道後)

「まぼろし」の発酵茶 愛媛県西条市の天狗黒茶

『後発酵茶』という言葉、聞いたことありますか?

中国のプーアル茶などが代表的ですが、日本では現在全国で4カ所ほどでしか作られていない珍しいお茶で、富山の富山黒茶(バタバタ茶)、徳島の阿波晩茶、高知の碁石茶、それと西条の『天狗黒茶』しかないそうです。

他のお茶と効能が別物で、スギアレルギーに効果があるのではないかと、愛媛大学で研究が進んでいます。

西条市小松町に古くから伝わる『石鎚黒茶』というものがありましたが、生産者がただ1人になってしまい、地元の生活研究グループが技術を継承し商品化したものが天狗黒茶。?継承とはいっても初めはなかなかうまくいかず大変苦労されたそう。水不足に悩まされていた瀬戸内山間部で生まれ、継承困難、少ない生産量。まさに「まぼろし」。

珈琲や紅茶は減らして、からだに優しい国産のお茶に切り替えてみる。
これも手軽に日常に取り入れられそうですね。

>>「まぼろし」の発酵茶 愛媛県西条市の天狗黒茶

好きなことをして暮らす。移住者たちが集う隠れ家カフェのマルシェ

愛媛県今治市大三島。
毎年、今治周辺の島々には、新しく島に移住してくる方が増えています。
その中でも、特にここ大三島は、関東や関西からの移住者が多い島。
大三島へ移住した人々は、農家をしたり、物作りをしたり…。
都会にいた時は全く違う生活を楽しんでいます。

冬を除いてほぼ毎月開催される、マルシェ。
このマルシェに出店されているのは、この島へIターンやUターンで移住された方ばかり。得意なこと、好きなことを仕事にして、のんびりゆっくり、島での生活を楽しんでいます。

「好きなことをして暮らす」
なんて素敵な生き方でしょう。
そんなことが、この日本で本当に可能?

人々の暮らしぶりを見に行ってみましょう。
本当に必要なものは何かしら?

じっくり考えてみると、意外と簡単なことだったり。

>>好きなことをして暮らす。移住者たちが集う隠れ家カフェのマルシェ/今治市大三島

いかがでしたか?
PCを閉じてたまに休みましょう。

現代の人を一番忙しくさせているのは、モノと情報の多さです。
思い切って旅行をするのも手です!

毎日のゆとりへの第一歩になるといいですね。

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瀬戸内Finder 編集部

地元の皆さんからの写真や、在住ライターの記事で発信する、瀬戸内地域の観光情報サイト、「瀬戸内ファインダー」を作る編集部です。 瀬戸内海を囲む兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、香川県、徳島県の7県に関わる旬な情報を日々更新しています。   お問い合わせは下記まで Email : staff@setouchifinder.com

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