毎年、礼儀正しくやってくる梅雨。しとしとと降る雨の中に咲く花といえば? そう、アジサイです。
ここは山口県にある『東大寺別院 阿弥陀寺(あみだじ)』。西のアジサイ寺と呼ばれています。
毎年6月にはアジサイ祭りが開催されます。
『アジサイ寺』の異名通り、歩けども歩けどもアジサイ。その数、およそ80種4,000株。ざっと見て回るだけで1~2時間、じっくり鑑賞しながら、となると時間はいくらあっても足りません。
突然ですが、このアジサイの名前はなんでしょう?
答えは「スミダノハナビ」です。
花の柄(え)が長く、花火のように四方に広がる様子から名づけられたのだとか。かの有名な隅田川に打ち上がる花火。その情景を想像しながら、花に目をやるとじつに優雅な気分になります。
そのすぐ隣にはこんなアジサイが…
花弁が反り返っていて、渦を巻いているように見えます。見た目のとおり、名前は「ウズ」。別名「お多福アジサイ」とも言うそうです。ぼーっと眺めているだけで祝福されている気分に…
当たり前ですが、一つひとつのアジサイには名があり、その名に見合った姿かたちや云われがあります。それがじつに80種類。次から次へと目移りしているうちに時間はあっという間に過ぎ去ります。
周防阿弥陀寺の創建は平安末期。アジサイのほかにも見どころがいっぱいです。
大英博物館に貸し出したこともある重源上人像(国重要文化財)、鉄宝塔(国宝)をはじめ、仁王門、本堂、念仏堂、護摩堂、経堂、湯屋など貴重な歴史文化財だらけです。なかでもオススメがこちら。
石風呂です。
造られたのは鎌倉時代。今でも毎月第一日曜日に焚かれていて、実際に入ることができます。(注:薪代としてお一人300円ご用意ください)
昨今のサウナブームで、「いつか入りたい!」と願うサウナーも多いのではないでしょうか。想像以上の高温にきっと驚きますよ。
服を着たまま入れるので、突然のチャレンジもOKです。
雨の似合う歴史ある寺院に華を添えるアジサイ。800年以上の歴史を有する数々の文化財。ここにいると、梅雨のうつうつとした気分がゆっくりとほぐれていきます。
そんな心地良さにポーとしていると、雨がぽつぽつと降ってきました。
急いで帰途につきたいところですが、ここにきて皿を投げずに帰るわけにはいきません。
名物、「かわらけ投げ」です。
素焼きの皿に願いを書いて、下の方にすえられた○(福輪)にくぐらせます。投げたお皿が○を通過すれば、願いが成就するとか。これが思いのほか難しく、乱暴に投げても入りません。はやる心を抑えて、アジサイを愛でていた心境でそっと投げ入れます。
入った瞬間、嘘のようにスッと心が晴れわたりますよ!
【おいでませ!山口】
東大寺別院 阿弥陀寺
文治3年(1187年)建立。境内のアジサイは昭和50年頃より植え始め、「西のアジサイ寺」と言われるまでに。現在では山アジサイやガクアジサイ、本アジサイ、西洋アジサイ、コアジサイ、ウツギなど80種類、約4,000株のアジサイが植栽されており、毎年6月にはアジサイ祭りが開催されている。
住所/山口県防府市牟礼1869
TEL/0835-38-0839
http://www.c-able.ne.jp/~amidaji
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瀬戸内Finder 編集部
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