岡山銘菓と聞いて頭に浮かぶのは、『きびだんご』?『むらすずめ』?それとも『大手まんぢゅう』?
写真手前に写る『調布(ちょうふ)』を思い浮かべた方は、岡山ツウ!!
『調布』は、もち米に砂糖や水あめを加えて練り上げた求肥を、薄いカステラ生地でくるんだ岡山の伝統和菓子。租庸調の税制がしかれていた時代、官に『調』として納めた布の形にまねたもの。古くは『しらべぬの』と呼ばれたそう。
この調布を食べずに調布は語れない!
ここ岡山には、『調布』を作る和菓子店がいくつもあります。その中でも岡山人が一目置くのが、老舗和菓子店『翁軒』です。
創業は明治22年。戦後に再建された当時のまま、街の中心商店街で営業。レトロで格のある風情が、通りで一際存在感を放っています。
このラッピングも、老舗の風格を感じますよね。
上質な菓子箱を開けると、飛び出てくるほの甘い香り。職人さんの息づかいが聞こえてきそうなほど、丹誠あふれるこのビジュアルがたまりません!
卵と砂糖、小麦粉をよく混ぜた生地は、ガスを使った鉄板で焼かれるため、驚くほどしっとり。卵の風味も生きている!
薄皮に包まれた求肥は、2時間から2時間半ほど練り込むため、きめ細やかでつき立ての餅のようにモチモチ。生地と求肥の黄金コンビに、ひと箱ペロリといけちゃいますよ♪
2大看板『不老餅』もハズせない!
『翁軒』といえば、もう一つの名物『不老餅(ふろうもち)』も全国にファンがいる逸品。
『調布』と同じ求肥に工夫を重ねて、マシュマロのようなお餅に変身。上品な口当たりの食感に、細やかなクルミがアクセントをもたらす美味しさは、まさに『口福』の一言です。『不老の秘訣はクルミに有り』(翁軒)。栄養価の高いクルミが入っているので『不老餅』と名付けたそうです。
テープを使わず、一つひとつ手作業でヒモを結んだ装いが、なんとも愛らしく、粋ですね。
こちらが翁軒4代目の田辺稔さん。
ロングセラーの、ホントの意味
添加物を使わないため、日持ちがしない翁軒の銘菓たち。4代に渡って守ってきたこだわりが、調布を100年以上、不老餅を半世紀以上のロングセラー商品に導いてきました。「息が長く続いてはじめて、お客さんに愛されるお菓子になるんです」(田辺さん)。
老舗の真髄を堪能できる翁軒の『調布』と『不老餅』。ぜひお店まで足を運び、岡山銘菓の奥行きを口と心で感じてくださいね。
御菓子司 翁軒
住所/岡山市北区表町3丁目6-37
営業時間/10:00~19:00
定休日/火曜日
電話/086-222-5462
瀬戸内finderフォトライター ハタノエリ
この記事が役に立ったらいいね!してね
関連キーワード
関連記事
この記事を取材したフォトライター
ハタノ エリ
1978年宮崎県生まれ。愛媛県松山市在住。 新聞記者のちフリーライター。 日常にも、おもてなしの心があふれる愛媛。2年前、この地を離れても忘れられず、2017年春、戻ってきました!訪れたらきっと、大好きになる。そんな確信があるからこそ、誰かの「愛媛行き」を、グッと後押しする記事を書いていきたい。
Hashtags
旬のキーワード