グルメ・おみやげ
五感フル動員で楽しむ、東播磨の食体験6選
①明石・魚の棚商店街をぶらり(明石市)
地元では『うおんたな』と親しまれる明石の『魚の棚商店街』。魚好きなら一度と言わず何度も訪れたい、活気あふれる商店街です。
明石城築城の約400年前から、城に近いこの一等地で、商人たちは鮮魚の乗った大きな板を軒先に並べて、鮮度を保つために水を流していたのだそう。
ここでは、今でも、江戸時代の姿を思わせるような光景が見られます。
午前中に明石で水揚げされた魚や明石だこは港近くで午前11時半頃から競りにかけられ(ただし、木曜日は漁協がおやすみ)、生きたまま明石・魚の棚商店街の各鮮魚店に運ばれ、昼過ぎには軒先に並び始めます。
これが、「うおんたな」名物の「昼網」です。
にょろにょろと足を伸ばす明石だこやぴちぴちと尾を反らす魚を『うおんたな』で初めて目にする子どもたちもいます。新鮮な魚は決して臭くないこともわかるでしょう。
商店街には魚だけでなく、海苔、干ダコなどの加工品、練り物、さらに野菜、お茶、お菓子、洋服などを販売する店舗が軒を連ねています。小腹を満たせる飲食店も多いんですよ。
②お出汁しみしみの明石焼(玉子焼)をぱくり(明石市)
明石名物の代表格といえば、明石焼(玉子焼)です。提供するお店は明石市内に約70軒あるといわれ、『うおんたな』でももっともポピュラーな明石の味です。
明治から大正にかけて明石の特産品として人気を誇った模造サンゴ、その名も『明石玉』を作るのに卵の白身が必要だったため、余った卵の黄身、小麦粉、明石だこ等を合わせた明石焼(玉子焼)が誕生したといわれています。
たこ焼きとの違いは、ソースではなく出汁につけて食べること。具材に紅生姜などは入っておらず、タコだけです。
また、小麦粉のほかに、じん粉(小麦粉のでんぷんを精製したもの)が入っていることで、明石焼(玉子焼)のふんわりと柔らかい食感が生まれます。
商店街の真ん中に店を構えるのが『あかし多幸』。明石焼(玉子焼)は冷めた出汁につけるお店もありますが、こちらではアツアツの昆布出汁を提供しています。
この、飲みたくなるほどおいしい出汁がなんとおかわり自由なんです。
太い菜箸で返されて焼き上がった明石焼(玉子焼)は、形を崩さないよう真っ赤な“あげ板”にくるりと乗せられ、そのままテーブルに運ばれます。まずは、何もつけずにひとつ。オリーブオイルで焼き上げた外側の軽やかな歯ざわりが楽しめます。
次は出汁につけて。生地の中にも昆布出汁がたっぷり使われているため、生地が口のなかでとろりとほぐれる瞬間にダブルの旨味が爆発します。柔らかな玉子生地からころっと明石だこが飛び出てくる瞬間も、なんとも言えず、いいんですよね。
各店舗独自の味を試して、自分好みの明石焼(玉子焼)を見つけてくださいね。
③にじいろふぁ~みんで新鮮食材をまとめ買い(加古郡稲美町)
日々の買い物はもちろん、おうち時間を充実させたいときや、BBQの買い出しにも最適なのが大型のファーマーズ・マーケット『にじいろふぁ~みん』です。
JA兵庫南管内に住む約500人の農家さんが登録し、自慢の野菜や果物を出荷しています。お手頃価格でフレッシュな食材が手に入るため、地元住民にとってなくてはならない場所です。
午前中は、生産者さんが納品に訪れているときがあり、お客さんから「これ、甘くておいしいから、いつも買ってますよ」と直接感想を伝える声も聞こえてきます。
野菜や果物以外にもお米、お花、加工品など幅広い商品を取り揃えているので、ここだけで買い物が済んでしまいます。
特に、鮮魚を取り扱っているのは、農産物直売所としては珍しいのだそう。明石で水揚げされた地魚は、水槽で活け越し、締めてから『にじいろふぁ~みん』に運ばれます。
鮮魚コーナーには、そうして当日の朝入荷したばかりの新鮮な魚介がずらりと並びます。魚屋スタッフが三枚おろしに対応したり、献立のヒントを教えてくれたりと、至れり尽くせりです。
兵庫県産大豆を使った自家製の豆腐や油揚げも人気です。スタッフが毎朝手作りし、すくったばかりのおぼろ豆腐が工房から次々に運ばれてきます。
購入しようと手に取ると、まだふわっと温かいんです。豆の味が濃く、シンプルに味わいたいお豆腐です。
地元の安心素材にこだわって作ったお惣菜やお弁当もバラエティ豊かです。
天気が良い日にはすぐ近くの天満大池のほとりでお弁当を頬張るのもいいですね。
スケジュールが合えば事前予約制で、誰でも料理教室に参加することができます。道路を挟んで『にじいろふぁ~みん』の南側には、1年単位で利用できる貸農園があり、家族や友人と家庭菜園を楽しむこともできます。農機具をレンタルしたり、営農指導員にコツを教わったりできるので、初心者でも安心ですね。
④NOCA で農家の恵みを味わう(加古郡稲美町)
『NOCA(ノカ)』は farm to table (ファーム・トゥ・テーブル、農場から食卓へ)を掲げる広々としたカフェで、東播磨の恵みを味わうにはもってこいのスポットです。
『NOCA』ではできる限り、隣接する『にじいろふぁ~みん』で仕入れた野菜を使って、素材の味を生かしたお料理とスイーツを提供しています。農家の朝採れ野菜がテーブルの主役というわけです。
スマートフォンでランチセットの注文を済ませ、明るい日差しの入り込む店内で待っていると、地元野菜をたっぷり使った “本日のお惣菜” が運ばれてきました。
鶏胸肉とブロッコリーの白和え、小蕪のグリルなど冷菜5種に、温菜は白菜のグラタン。バターナッツかぼちゃのフリットとアオサのゼッポリーニ、さらに自家製野菜チップス、季節野菜と押し麦のミネストローネ、季節野菜のサラダまでぎゅぎゅっと盛りだくさん(仕入れ状況により献立は異なります)。目にも鮮やかなお惣菜はひとつずつ丁寧に仕上げられていて、野菜の甘味があふれ出します。
メインには『NOCA』イチオシの塩麹漬豚ロースのグリルを選びました。しっとりジューシーな豚肉とほかほか、もちもちの稲美町産ごはんとの相性がたまりませんね。
『NOCA』は旬の果物のおいしさを引き立てるスイーツにも定評があります。
稲美苺プリンは加古川で評判の『オクノの卵』を使ったプリンに稲美町産苺がトッピングされ、ディル(ハーブ)のつぼみのアクセントが巧みに効いた贅沢な一品です。
春らしさが口いっぱいに広がり、幸せな気分になります。
⑤升田山のてっぺんで山ごはん(加古川市)
兵庫県下最大の河川、加古川に隣接する升田(ますだ)山は標高105メートルと低山でありながら、程よく刺激的な登りごたえと頂上での眺望が魅力です。
升田登山口から山頂までの距離はおよそ350メートル。鳥居をくぐり、木漏れ日の中を進むと、突如急斜面が現れてちょっと足がすくむ予想外の展開です。
ただ、そこにはガイドチェーンが設置されています。しっかりつかんで登れば、『八十(やそ)の岩橋』と呼ばれる自然の石段に続きます。あとは、時おり加古川の流れを振り返りながら登れば、あっという間に山頂に到着します。
ここで私、気付いてしまったのです。升田山に登る人のなかに、登山にかかった時間よりもはるかに長い時間を頂上付近で過ごしている人たちがいることに。
特に、北側の平荘湖(へいそうこ)を臨む開放的な場所は、山ごはんやコーヒータイムを楽しむのにうってつけです。コーヒーの香りがぷうんと漂い、まるでここは山頂カフェ。
火の取り扱いに十分気をつけて、心地よい時の流れに身を任せてみてはいかがでしょう。
⑥みとろ観光果樹園で糖度抜群のフルーツ狩り(加古川市)
自分の手で旬の味覚を収穫したい人には、みとろ観光果樹園がおすすめです。加古川西岸の自然豊かな10ヘクタールの果樹園では、5月下旬から11月いっぱい頃まで、季節ごとにさまざまな果物狩りが楽しめます。時間制限はなく、園内では食べられるだけフルーツを漫喫できます(栗は除く)。
栽培されているのは梅、すもも、ぶどう、栗、そして柿。みずみずしい果物を収穫して木陰で口に含めば、果実の甘みがより一層増すように感じます(梅は販売のみ)。
食べきれなかった分は、キロ当たりの代金を払って持ち帰ることができます。
たとえば、7月下旬から9月中旬まではぶどう狩りが楽しめますが、まずはデラウェアから始まって人気のベリーAに移り、時期により異なる種類のぶどうが味わえるのも嬉しいポイント。シーズン中に何度訪れても飽きることがありません。
また、冬には梅の花、春にはすももの花が見頃を迎え、お弁当を持ってピクニックに出かけるにも最適のスポットなんです。
地面に寝転がったり、木々の間を走り回ったり、緑が目に飛び込んでくる環境で思い思いの休日を過ごしてくださいね。
※感染症対策に配慮した上で撮影を実施しています。
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
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