2019年にデビューした広島・呉・松山の3都市を結ぶ観光型フェリー『シーパセオ(SEA PASEO)』に続き、今度は広島港と三原港を結ぶ新たな観光型高速クルーザーが誕生しました。その名は『SEA SPICA(シースピカ)』。
2020年10月から毎週金・土・日・月の週4回+祝日を中心に運航中。8時30分に広島港を出発する東向コースと、13時30分に三原港を出発する西向きコースがあります。
東向きコース
8:30 広島港→プリンスホテル→呉港→下蒲刈島(下船観光)→大久野島(下船観光)→瀬戸田港→13:10 三原港西向きコース
13:30 三原港→瀬戸田港→大久野島(下船観光)→大崎下島・御手洗(下船観光)→呉港→プリンスホテル→18:05 広島港
今回はその両方のコースを体験しました(8歳の息子も同伴)。1コース4時間半の船旅、どんな旅になることやら!
ひんやりした空気に秋の深まりを感じる10月の朝。
広島港に『SEA SPICA』が着岸しました。
ネイビーの船体に煌めく、真珠星「SPICA」と瀬戸内海の島々を結ぶ航路をデザインしたロゴマークが眩しい! 久しぶりの船旅に期待が高まります。
中に入ると、船体と同じネイビーのソファが3列ずらり。『SEA SPICA』のデザインを手掛けたのは、JR西日本の『WEST EXPRESS 銀河』も担当した川西康之氏。海を感じさせる丸いマリンランプや、波のようなカーブを描くソファが船内を彩ります。このソファの背もたれは、窓から離れた中央列からも窓の景色を楽しんでもらえるようにと、窓側が低く設計されているそう。
窓側のソファもこの通り。壁にはAC電源もあり、スマホやパソコンの充電もOK。船内はフリーWi-Fi も利用可能です。
乗客を楽しませる仕掛けが盛りだくさん!
『SEA SPICA』は、それまで少なかった広島港と三原港を結ぶ瀬戸内東西ルートに誕生した観光航路。途中2箇所で下船観光ができるほか、海上自衛隊の港や音戸大橋、契島 (ちぎりしま)など、絶景ポイントではスピードを落として乗客を楽しませてくれます。
上の写真は、海上自衛隊の港に接近したときの様子。映画でしか見たことのないような本物の潜水艦や、護衛艦「あぶくま」、輸送艦「くにさき」など、マニアでなくとも思わず前のめりになる迫力の光景に乗客の皆さんも大興奮!
下の写真は、あの「戦艦大和」を建造したことで知られる旧日本海軍の工場「呉海軍工廠」の跡地に建つ、日鉄日新製鋼呉製鉄所。陸上からは決して見ることのできない工場群の大パノラマはまるで映画のワンシーンを見ているかのよう!
広島県呉市と倉橋島の間にある海峡「音戸(おんど)の瀬戸」もゆっくり運行。こちらも船の上からならではの目線が新鮮ですね。岸や橋の上から手を振ってくれる人もいました。
下の写真は、島がまるごと工場になっている契島(ちぎりじま)。「瀬戸内の軍艦島」とも呼ばれ、工場マニアに人気のスポットになっている島です。まるでSFの世界のような廃墟感に釘付けになりました。
ところでこの『SEA SPICA』、観光型船舶としては珍しい高速船タイプです。一般的なクルーズ客船の速度が15~20ノット(時速約27.8㎞~37.04㎞)といわれる中、『SEA SPICA』の最高航行時速は24ノット(時速約44km)。このスピードがあるからこそ、こんなに盛りだくさんの企画が実現できたのですね。
高速船というと揺れが気になるところですが、その点は心配無用! 今回の乗船は台風14号が日本近くを通過した翌日だったのですが、着岸、離岸前後のスピードを落とした時こそ揺れることがあるものの、高速航行中はほぼ揺れることもなく、自由に船内を歩き回ることができました。これって本当にすごい技術ですよね。
開放感たっぷりのスピカテラス
『SEA SPICA』のもう一つの大きな特徴は、「スピカテラス」と呼ばれる屋外デッキが設けられていること。船体の全長は25.7メートルと客船としては小ぶりなサイズですが、この屋外デッキがあることで、客席に縛られることなく開放感のある船旅を楽しむことができます。
テラス中央部には瀬戸内の島々をモチーフにしたユニークなソファ。そして両サイドには海を望むようにハイセンスなチェアが並んでいます。(チェアの足元はしっかり固定されているのでご安心を!)
こんな風に、みんな思い思いの場所でくつろぎながら、流れる瀬戸の景色を楽しんでいました。座る椅子、立つ場所によって目線が全く異なってくるので、見える景色も人それぞれ、というところが面白いですね。
夕方のマジックアワーには、赤と青の入り混じった瀬戸の海景色とマリンランプのオレンジの灯りが相まって、ちょっぴり大人な雰囲気を演出してくれます。写真は広島市のプリンスホテルに着岸した17時50分頃に撮影したもの。心地よい海風と美しい景色に酔いしれたひと時でした。
スピカテラスにはもう一つ、乗船したらぜひ体験してほしいとっておきの場所が。それがこちら! 船尾に設けられた人気のデッキチェア(1脚10万円!)は、8歳児も一度座ると立ち上がれなくなるほどの座り心地。ぜひお試しくださいね。
スピカテラスにつながる階段には昇降機も設置してありますので、足が不自由な方もどうぞご安心ください。ご利用の際は船内のマリンボーイさんにお声掛けくださいね。
『SEA SPICA』売店のグッズと予約限定のお弁当
旅の醍醐味といえば、そこでしか味わえないご当地弁当やお土産選び。船内の最後方にある「スピカウンター」で、「SEA SPICA」のオリジナルグッズや、飲実物、軽食を販売しています。交通系ICカードで購入もできます。
ゲットしたのは『SEA SPICA』のロゴが描かれたキャンディと、方位磁石がついたオリジナルキーホルダー。キーホルダー好きの彼は撮影の後、さっそくリュックにつけていました(笑)。
またお土産は、インターネットでギフトが送れるサービス「みやげっと」からも購入可能。カウンターに設置されたQRコードを読み込んで「みやげっと」にアクセスすれば、その他のお土産も選ぶことができますよ。
私は「金メダルみかんジュレ」と「大長レモネード」を購入。どちらも販売店が限られているご当地限定品だそう。結局息子に奪われてしまいましたが、ジュレは凍らせてあって、シャリシャリ食感がとっても美味しかったそうです。
お弁当は『SEA SPICA』のチケットを予約する際に一緒に申し込むことができます。広島の有名店・むさしの「清盛むすび弁当」と「銀河ランチサンド」の2種類をゲット(各1,500円)。
瀬戸の海風を浴びながら食べるお弁当は格別。どちらも美味しくいただきました!
後編へ続く!
『SEA SPICA(シースピカ)』でGO!自由で、開放的で、新しい船旅Vol.2/大久野島・下蒲刈島・御手洗地区
瀬戸内Finderフォトライター/イソナガ アキコ
瀬戸内しまたびライン
http://setonaikaikisen.co.jp/simatabi
せとうち観光ナビ「setowa」(アプリ)
https://www.jr-odekake.net/navi/setowa/ticket
せとうちパレットプロジェクト|JR西日本
https://www.setouchi-palette.jp
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この記事を取材したフォトライター
イソナガ アキコ
約10年のWEBディレクター業ののち、2014年よりフリーライター。 撮影を含む仕事も増える中、カメラ熱も上昇中。 2019年、インディペンデントな本屋さんを応援する「あいだproject」を創立。 本や本屋を起点にしたイベントをあれこれ妄想しては実行中。 URL/https://isonaga.wixsite.com/aidapress
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by 瀬戸内Finder 編集部